2016年6月8日から7月14日まで世界一周航空券を使っての旅に出た。まだ訪ねていない、重要な場所を周ろうと考えたのである。この旅の様子は既に4トラベルの私のサイト(http://4travel.jp/traveler/tmuramatsu/)に詳しく記した。ここでは、自然探訪の部分を要約し、背景を述べ、旅のヒントを強調したい。写真は厳選したので、スクロールして、気に入ったものはクリックして頂きたい。大きく鮮明になるはずである。
6月10日、ラスベガスでレンタカーを借り、レイクパウエルまで走った。相当な高齢になってしまったので、事故を起こさないように、様々に気を配った。グランドサークルの中で、グランドキャニオン、ブライスキャニオンなどはアメリカからの帰国時に既に訪ねている。グランドキャニオンの日没は今でも忘れられない、最高の旅行経験の一つである。珍しく歌まで作った。
日よ落ちよ、時飛びすされ、キャニオンの闇に向かいて石と化す我
モニュメントバレーなど残ったところは、いずれ訪れたい、できればサボテンの花が咲くころと思っているうちに、時期を逸してしまった。今回の旅行全体のスケジュールはドロミテの花を優先したので、サボテンの花はあきらめることにした。グランドキャニオンに行っているので、グランドサークルの他の部分だけのために出かけるのは難しい。これが最後のチャンスだろうとなったからである。
6月11日。観光船でレインボーブリッジに行った。高さ88メートルのレインボーブリッジは圧倒的な存在感があった。世界で最も高いナチュラルブリッジである。ドライブ距離を短くするためアーチーズ国立公園に行くのはあきらめたが、これで埋め合わせが出来たと思った。
6月12日。Slot Canyon Hummer Adventureのシークレット・キャニオン・ツアーに参加した。最近、アンテロープキャニオンが有名になってきた。水によって削られた、狭いキャニオンには日の光が射し込みにくく、わずかの光が幻想的な光景を作り出すのである。しかし人気が高くなったのでアンテロープキャニオン、ことにアッパー・アンテロープキャニオンは混み合うという。そこで、まず、似たような景色で、混まないシークレット・キャニオンに出かけたのである。ここでは少人数のツアーでキャニオンを独占できるのだ。予想は当たり、ゆったりとキャニオンを眺め写真を撮ることができた。
6月13日。アッパー・アンテロープキャニオンのフォトグラファー・ツアー(Adventurous Antelope Canyon Photo Tours) に参加した。写真撮影に特化したツアーで、あわただしくはあったが、三脚を使ってシャッタースピードを落とし、絞ることによって納得のいく写真が撮れた。
写真撮影について、さらに述べておこう。光が弱いので、推奨されるホワイトバランスは曇りである。私はRAWで撮ったので、ホワイトバランスは後で調節できるが、ほとんどオートにした。曇りの方が赤っぽい色を出しやすい。オートだと光が強いと茶色になる。しかし、オートは微妙な光の変化に対応しやすく、紫色がきれいに出る利点がある。
夏至を中心とする何か月かは、アッパー・アンテロープキャニオンやシークレット・キャニオンで光のビームがキャニオンに降り注ぐ。これを写真に撮ることに、多くの人が熱中する。正午前後の時間がいい。ビームがきれいに出るためには、空気中に埃が多い必要がある。そのため、砂を投げまくる。ある程度砂を投げると、あたり一帯に埃が充満し、いい写真が撮れるようになる。この時は、ホワイトバランスは曇りがいいだろう。
6月14日。ホーシューズベントを見て、モニュメントバレーに移動した。ホースシューズベントは300mほどの絶壁で、怖いような絶景である。
モニュメントバレーではザ・ビューホテルに2泊し、部屋のベランダから日没や日の出を眺めることが出来た。ここからの景色はビジターセンターからの景色と変わらないと思うが、部屋に寛いでいてポイントになる時間だけベランダに出ればいいのは快適である。2日間の写真で代表的なものを示す。
6月15日。朝5時からMonument Valley Safarisのサンライズツアーに参加した。まず、トーテムポールからの日の出を見て、つぎにトーテムポールが朝日に輝くのを鑑賞。
さらにアーティストポイント、ノースウィンドウ、ジョンフォードポイントなどの見どころを朝の清冽な雰囲気の中で周った。写真はこの順に示す。
評判のいいツアー会社らしく、充実したツアーであった。
この日の夕景は別の所で見た。ビジターセンターから数分歩くとキャンプグランドになる。そのあたりから、ウォーキングトレイルであるワイルドキャット・トレイルが延びている。
これを100メーターほど進むと、バレードライブが見えなくなる。さらにほんの少し進んで腰を据ええ、誰もいない大西部の空間を満喫した。そしてザ・ビューホテルに引き返して日没を迎えた。
6月16日。ラスベガスに帰る途中、ザイオンで一泊し、シャトルバスを使って、見どころを周った。巨大な一枚岩である、グレイト・ホワイト・スローンが見事だった。
カリフォルニアコンドルらしい鳥も現れた。早朝の渓谷では、荘重な気分を味わえた
ヨーロッパ大陸に移動し、スペインを観光した。そしてドロミテを目指した。2人とも引退して好きな時に旅行できるようになったので、花盛りのアルプスを見ようとドロミテ行きを決めたのである。スイスアルプスやモンブラン一帯でも花は見事であろうが、既に大半の地を訪れているので、新しい場所を求めてドロミテとなった。チロルもまだ行っていないところであるが、ドロミテは本来チロルの一部で、今でも南チロルとよばれることがある。
チロルよりドロミテに惹かれたのはトレチーメ(ドライチンネン)の存在による。私はパタゴニアのパイネ国立公園の岩峰にあこがれ、南極クルーズの時に訪れようと思っていた。しかし、スケジュール的にギリギリでパイネは取りやめた。パイネだけのために、はるばる出かけるのは無理なので、同じような岩峰であるトレチーメに目が向いたのである。
ドロミテの花を見るのに何時がいいか、様々に情報検索した。早すぎると雪に覆われ、花は咲いていない。ロープウェイも動いていない。遅くなれば、花が盛りを過ぎるし、牧草地帯では刈り取られてしまう。人出も多くなる。6月下旬から7月上旬がいいだろうというのが結論であった。ロープウェイが動き始めるのは6月半ばの場合が多い。
ドロミテではトレチーメを見ると共に、よりチロル的な西部ドロミテにも腰を据えることにした。西部ドロミテのどこに行くか。また色々と情報検索した。そしてガルデーナ谷に落ち着いた。バスの便がいいのである。
6月27日、マドリッドからミュンヘンに飛んで一泊。翌28日に列車でボルツァーノを目指した。天気予報では今日は快晴であるが、その後、天気は崩れる。今日の内に景色を見ようとタクシーに飛び乗り、セルヴァにある宿のラウリン(Laurin)に着いた。宿から2,3分のロープウェイで、サッソルンゴに近いチャンピノイに行った。セッラ山群、谷向こうのガイスラー山群、最高峰のマルモラーダから続く山々と眺望を満喫できた。述べた順に景色を示す。
翌日から、バスとロープウェイを使って、見どころを次々に訪ねた。天気が悪いという予報は基本的には当たっていたが、雨になることはなく、花盛りの山を楽しむことができた。キンバイの仲間の黄色い花を主体としたお花畑にあちこちで遭遇した。
まずコルライザーで
サッソルンゴの麓で
アルペ・ディ・シウジで
最後にセチューダで
さらに7月1日は、かなりの好天でポルドイ峠まで、バスを使って遠出し、ポルドイ山を楽しんだ。
そして帰り道、セッラ峠で下車して、サッソルンゴが3つの岩峰に見えるのを眺めた。
花盛りのドロミテを見るという意味では絶好の時であった。珍しかったのは西洋キンバイである。大型の花で、一見つぼみのように見えるが、これで盛りなのである。
群落も作っていた。
7月3日。タクシーでコルチナダンペッソに移動した。トレチーメを歩くための拠点である。翌日は曇りで全くだめ。7月5日は晴れたがまだ雲が残っていた。ラヴァレード峠から500メートルの高さで突き上げるトレチーメの岩峰を眺めたが、少し雲か霧を帯びていた。
7月6日。ついに快晴。輝く周囲の山々も見事だ。
トレチーメを一周すると、トレチーメは様々に姿を変えた。
こうして、トレチーメを十分に楽しむことが出来た。トレチーメは時期が早すぎると雪が残っていると、7月上旬に設定したのである。もくろみ通り、私たちが行ったときは、雪は完全に解けていた。しかし、その後で雪が降ったので、山の天気は分からない。
トレチーメは素晴らしいが、混雑がひどいという意見も多い。混雑を避けるためには、真夏、ことに8月そして週末をさけ、そして早めの出発を心がけることとされている。私たちはシーズン初めの7月上旬に行き、さらに8時15分頃の出発でタクシーを使ってアウロンツォ小屋まで行き、8時45分頃に歩き出したので、全く混雑しない山を楽しむことが出来た。バスの始発は8時30分過ぎ、歩き始めは9時40分ごろとなるので、ほぼ1時間稼いだことになる。帰りのバスは2時30分発のに、ゆとりで間に合った。これを逃しても4時50分発のがあった。
トレチーメでは花もたくさん咲いていた。
これはルリカンザシだろう。
ハナカンザシ
ワスレナグサ
見たいと思っていた花はミヤマヒナゲシ(アルペンポピー)である。これはサッソルンゴ周辺でも少し、そしてトレチーメでラヴァレード小屋やロカッテリ小屋に行く道にはかなり咲いていたが、一番凄かったのは、アウロンツォ小屋へ戻る時の斜面のトラバースである。群落になっていた。