トリニダード・トバゴとコスタリカ旅行記:ショウジョウトキ(スカーレットアイビス)、ケツァール、コンゴウインコを探して


私たちの世界旅行でコスタリカが抜けていた。コスタリカは美しい自然に恵まれ、エコツーリズムの先進国でもある。火の鳥のモデルになったケツァール、そして赤、青、黄の三原色に彩られたコンゴウインコをはじめ、多くのきれいな鳥がいる。

また、やはり中米のトリニダード・トバゴでは真紅のトキであるショウジョウトキが大群で飛んでくる。この景観は長い間、見たいと思っていた。

色鮮やかな鳥が集まってくるので有名なAsa Wrightネイチャーセンターもある。このさい両国とも訪れようと3週間の旅行を計画した。

旅行の時期は乾季が望ましい。コスタリカの乾季は12月から4月で、トリニダード・トバゴも大きな違いはない。ケツァールを見やすいのも乾季である。

また、ケツァールの繁殖期は2月中旬あるいは3月からとされている。ケツァールが一番美しいのは繁殖期の直前から繁殖期の初めらしい。そして、一般的に繁殖期は鳥の観察に適している。

いっぽうショウジョウトキにいいのは12月から3月である。ベストシーズンは混み合うだろうと、ほぼ1年前にAsa Wright ネイチャーセンターに予約を申し込んだら、

私の指定した2月下旬にひっかかって空室があったのは2月18日からの3泊だけであった。急いで予約を入れた。こうして旅程が決まっていった。

続いて飛行機の手配に入った。荷物の多さ、そして私たちの年齢を考えるとビジネスクラスが望ましいが、遠い場所なので料金が大変だ。

しかし、JALのディスカウント・ビジネスクラスでマイアミまで行き、ここを拠点とし、トリニダード・トバゴとマイアミの往復2人分、さらにコスタリカとマイアミの往復1人分をマイレージで頂けて、かなり節約できた。

もっとも、あまり考えずにシカゴ経由の便を取ったので、吹雪にならないかと、出発前はシカゴの天気予報をチェックする破目になった。幸い何事もなかったが。

出発3-4か月前から撮影機材の荷造りも考えた。バードウォッチングの世界に少し足を踏み入れ、鳥の撮影を始めていたのである。機内持ち込み用にthinkTANKのバック(エアポートインターナショナル)を買い、ここに500mm F4と400-80mm F5.6, そしてニコンD810を入れた。

もう一つ持つことができるブリーフケースにはサブカメラとパソコンなどなどを収納した。チェックインする大型バッグの中にはロープロのリュックも押し込んで、超望遠レンズを担いで歩けるようにした。このリュックの中には雲台2種が収まった。むろん三脚、さらに登山靴など荷はどんどん増えていった。

トリニダード・トバゴとコスタリカにマラリアの危険はないようだった。しかし、デング熱、さらに新たに流行し始めたジカ熱対策としてウェットティッシュー型の虫除けを買った。マイアミの空港では小型のスプレーも入手した。DEET100 %という恐ろしげな物だった。

トリニダード・トバゴのショウジョウトキ

2月17日。中部国際空港から成田経由でマイアミに飛んだ。シェラトン・マイアミ空港ホテルに投宿。ここにコスタリカ用の荷は預けた。

2月18日。マイアミからトリニダード・トバゴの首都、ポート・オブ・スペインに向かった。トリニダード・トバゴはカリブ海諸島の南端に位置し、ベネズエラのすぐ隣である。たくさんの島を見下ろしながらの順調な飛行だった。空港では出迎えのAsa Wrightネイチャーセンターの車が待っていた。

1時間ほどのドライブで山の中腹にあるセンターに着いた。ここに3泊して鳥を見るのだ。到着したのは4時過ぎ。まだ鳥を見られると5時ごろに400mmズームを持って本館のベランダに出かけた。ここが鳥見の主な場所である。

ベランダの下に庭が広がり、そこに果物を置いたエサ台がある。エサを求めてやってくる鳥を観察するのだ。鳥が近くの枝に止まった時がシャッターチャンスになる。ハミングバード(ハチドリ)用に砂糖水の入ったフィーダーもぶらさがっている。

庭の向こうはもう森だ。Arimaの街に向かってなだらかに下がっている。ベランダでぼんやりしているだけでいい気分だ。じきにムラサキミツドリがやってきた。見たかった鳥だ。

ただし、エサ台を離れないのは残念だ。さらにソライロフウキンチョウ、タイランチョウが現れた。ソライロフウキンチョウは枝に止まっていいポーズをしてくれた。

 

 

2月19日。小鳥たちを本格的に撮ろうと500mmレンズを持ってベランダに行った。5時45分である。早かったので良い場所を確保できた。じきにベランダは客でいっぱいになった。自由に飲んでいいコーヒーを脇に置いて鳥を待つ。さわやかな気分である。

いろいろな鳥が現れたが、やはり目を惹くのは色鮮やかな小鳥だ。ムラサキミツドリは数も多い。光の具合によると、黒っぽい小さな鳥だが、良い条件では紫色に輝いて見事な写真になる。今日は枝に止まってくれた。

昨日、見えなかったズグロミツドリもやってきた。飛ぶと緑の閃光のような美しさだ。写真を示しますが、鮮明に見るためにはクリックしてください

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朝食の後、9時から10名ほどでトレイルを歩くことになる。ガイドが出会う鳥を説明してくれた。売り物はアゴヒゲスズドリで、カナ、カン、カンと半鐘を鳴らすように大きな声で鳴くのである。木の上の方にいる姿も見ることが出来た。髭のようなものを房状に垂らしている。

帰ってから、またベランダでバードウォッチング。日が高くなると鳥の数が減るし、ツアー客の訪問が増えるが、ベランダからのんびり見下ろしているのは悪くなかった。ズグロミツドリがきれいに止まってくれた。

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2月20日。早朝、もう繰り返しだろうと400mmズームを持ってベランダに立ったが、スミレフウキンチョウが良い条件の所に出たのは残念だった。今まではエサ台か、遠くの木にしか止まらなかったのである。

朝食後、アブラヨタカの洞窟へのツアー。この宿へ3泊すると参加できる。アブラヨタカは40-49cmの大きな鳥で南アメリカとトリニダード・トバゴに住んでいる。夜行性で果実などを食べる。

ここの洞窟はアブラヨタカの営巣地としては、最も容易に近づける所として人気が高い。45分の険しい道のりと聞いていたが、途中休憩もあり、山靴を履いた私たちには散歩道であった。

洞窟の入り口で、近くにいるアブラヨタカを眺めるのである。洞窟の岩とよく似た色なのだが、ガイドが懐中電灯の光を当てると目がルビーのように輝くので所在が分かった。フラッシュ撮影は厳禁だから、光が当たっている時に写真を撮ることになる。

全部で3羽の鳥を確認できた。2羽は頭だけ出していたが、1羽はほぼ全身を表していて、様子がよく分かった。

 

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帰り道、ガイドがシロクロマイコドリを見つけて、写真を撮ることもできた。後ろ向きだったけれど。

午後は待望のカロニ湿原(Caroni swamp)へのツアーだ。ネイチャーセンターへ着いてからの申し込みとなっていたので、到着したら急いで手配を依頼したのである。午後1時半発のバンに乗ったのは私たちだけだった。運転手は船の上でどうぞとラムパンチの入ったクーラーも積み込んだ。いつもは、ラムパンチはベランダで夕方飲んでいる。

カロニ湿原はポート・オブ・スペインから15kmほどの所に広がるマングローブ湿原である。ここを、1万羽を超えるショウジョウトキがねぐらにしている。エサを摂るのは、18キロ離れているベネズエラが主で、夕方に帰ってくるのだ。

ねぐらはいくつかに分かれているようだが、それでも1か所で千羽をはるかに超えるショウジョウトキが見られるのだ。ショウジョウトキは全身がほぼ真っ赤で、翼の先だけが黒い。この美しい鳥が群れを成して夕方の空を飛ぶのは、ヌーの大移動、フラミンゴやキングペンギンの大群などと並ぶ野生動物のスペクタクルだと評価されている。

ショウジョウトキの繁殖期は4月から9月で、この間は大多数のショウジョウトキはベネズエラなど南米に定着してしまう。また、幼鳥の羽は黒褐色で、食べ物の色素を取り入れてしだいに赤色に変わっていく。こういった訳で、ショウジョウトキの観察シーズンが12月から3月とされているのである。

運転手は、途中で鳥を見せてくれたりして、午後3時過ぎにはカロニ湿原の船着き場に車を止めた。私は、500mmのレンズと三脚を運び出した。
事前に、ネイチャーセンターのガイドに相談したのだった。
「どんなレンズを持って行ったらいいかな」
「そりゃー一番長いやつです。鳥は遠いですよ」
「ほかの人の迷惑にならないかな」
「大丈夫です。船頭がうまく取り計らってくれますよ」

船を待っている間に1羽のショウジョウトキが空を飛んだ。たしかに見事な赤色だ。4時にやってきた船に乗った。詰め込めば30人は乗れる船の客は、なんと私たちともう1組のカップルだけだった。私は船の後方に席を取り、ゆっくりと三脚を広げた。

船とガイドはMadoo バードツアーのものだった。船は途中いくつかの動物を見ながら進んでいった。木の上にいるボアが印象的だ。林の奥にいる1羽のショウジョウトキも見つけることができた。

やがて船は広い水路に出て、しばらく進んで停泊した。5時30分だ。対岸の島に戻ってくるショウジョウトキを待つのだ。私がカメラをセットしていると、もうショウジョウトキがやってきた。

30羽ほどの群れで、左手から海面すれすれに飛んでくる。鳥たちは必死に羽を動かしていて、飛ぶスピードはかなりのものだ。やがて鳥たちは高度を上げ、島の背後に消えた。まずは人目のない側にねぐらを求めるのであろう。

カメラの準備が終わったと思ったら、もう次の鳥たちがやってきた。船は夕日を背にして止まっていて、鳥たちは夕日を浴びて飛ぶので写真撮影に絶好だ。群れの鳥の数は多くなっていて、40-50羽はいるだろう。

空は晴れ渡り、風もない。おだやかな広々とした空間の中を真紅の鳥の群れが行く。これ以上はない見事さだ。私はレンズをのぞきこんだ。肉眼以上に透明感のある景色が見える。当然、細部がはっきりしている。私は必死に鳥たちに焦点を絞ってシャッターを押し続けた。

いくつかの群れが来た後、すこし間が空いた。そして白い鳥の群れがやってきた。幕間のショーの様だ。やがて、ショウジョウトキの飛来が再開された。

次から次へとショウジョウトキの群れが飛んできた。群れの鳥の数も多くなり、100羽くらいいるだろう。群れがやって来る間隔も短くなり、ほとんど連続しているように感じられる。鳥が高度を上げる島の背後の空は鳥たちで覆われているかのようだ。

 

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そのうちに、島の背後に寝る場所がなくなったのか、鳥たちは島の前面に降り立つようになった。緑の島に赤い斑点が増えていく。

夕暮れが迫り、飛んでくる鳥の数も減ってきた。6時10分。船頭はここで終了を宣言した。ショウジョウトキの群れを見る希望が、この上もない姿で実現したのである。

船は急ぎ足で暮れていく水路を帰った。感謝して船頭に十分なチップを渡して、待っていたセンターの車に乗った。ドライブの後半は真っ暗な中を、崖道を行くものだったが、運転手がベテランなので、何の心配もなかった。

2月21日。Asa Wrightネイチャーセンターを去る日だ。朝早くからベランダで鳥を見た。カンムリオオツリスドリが時々飛んでいった。大きな鳥で黄色い尾がきれいだ。遠くの木には緑のオウムもいた。

チェックアウトして、センターの車に送ってもらい、ハイアットリージェンシー・トリニダードに着いた。ここに3泊である。このホテルはポート・オブ・スペインの中心部に立ち、ビジネスマンの利用も多い。値段は高いが、空調がよく効いているのはうれしい。

ここに滞在する主な目的はさらにショウジョウトキを見ることである。ショウジョウトキ見物は常に成功するとは限らない。夕立が来ることもある。赤ん坊連れの客が騒いでどうにもならなかったという報告も読んだ。

船が混み合った場合、どこに座っているかという運もある。船が岸に平行に泊まった場合、4人に1人は他の人に邪魔されずに見ることができ、後ろになった人は立つことができる。しかし、全ての人が良く見える訳ではない。

だから、トリニダード・トバゴのバードウォッチングツアーのスケジュールを見ると最低2回カロニ湿原に行くのが多いのだ。私たちの場合、もう幸運に巡り合ってしまったのだが、予約済みであるし、何度見てもいいという心境でさらに2回、カロニ湿原に出かけたのである。

午後3時。迎えが来た。Madoo バードツアーの車である。カロニ湿原へのツアーで老舗なのはNananバードツアーである。評価も悪くない。ただ評判がいいので混み合うという話もある。

Madooのほうが、ややゆったりしているという情報があり、そちらを選択していた。実際、Asa Wrightからのツアーもこちらを利用していたのである。現地での看板を見ると、Nananのツアーが「バードウォッチング用特別ツアーを催行します」と書いてあったので、これを検討するのも一方法かもしれない。

午後4時、船がやってきた。船頭は昨日と同じだ。今日の船は混み合っている。20人弱の客がいるだろう。私はまた500mmレンズを持ってきた。昨日、良い写真が撮れたはずだが、本当にいい写真かどうかは焼き付けてみないと分からない。

昨日はシャッタースピードを1/2000に設定したが、鳥が速く飛んでいるので1/3000も試してみたかったのである。私たちは後方に座るつもりだったが、船頭は一番前に座れと指示した。申し訳ないが好意を受けることにした。マングローブの水路を行くとアリクイがいた。

今日は風がある。そのためだろう、鳥の到着は遅れた。そして鳥たちは、島の背後の場所はもう残っていないだろうとばかりに、すぐに前面に舞い降りた。私は勢い込んでいくつか写真を撮った。

しかしモニターで見てみると昨日の写真と変わらないようだ。いつまでも長大なレンズを突き出していることもあるまいと、レンズを仕舞い込んだ。そして、肉眼でこのショーを眺めることにした。かぶりつきの位置にいるのだから。写真は舞い降りるショウジョウトキ。

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2月22日。カロニ湿原3度目のツアーである。今日の客も多い。驚いたことにAsa Wright ネイチャーセンターからのツアー客数人もいた。知り合いになっていた人たちと再会を喜び合った。運転手はやはりラムパンチを運び込んでいた。

船頭はまた私たちを最前列に据えた。遠慮していたのだが、なじみになってしまったのだろう。今日の風はさらに強かった。風に流されて、鳥の群れが船に接近することもあった。

これ凄いと写真を撮ったが、今日持ってきたのは400mmズーム。モニターで見た映像は。今一つキレが悪い気がした。カメラよりも肉眼だと、カメラを放り出して鳥との接近を楽しんだ。赤い鳥たちが視野一杯に広がったと感じることもあった。緑の山に点在する赤い鳥の数は今日が一番多かった。

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こうして、ショウジョウトキ見物は予想以上の大成功に終わった。いくつかの好条件と幸運が重なった結果だろう。ネット検索して得た情報の中に、夕方、潮位が高いほうがいいというのがあった。鳥たちが明るいうちに帰ってくるのだという。真偽のほどは不明だが、私たちが訪問した時は将にそうであった。

 

コスタリカのケツァールとコンゴウインコ

 

2月23日。午前中にポート・オブ・スペインの市内観光。2月24日、マイアミに帰り、25日。コスタリカの首都サンホセに向かった。空港ではコスタリカ・エクスペディションズの係員が迎えて、宿泊先のホテル・ブーゲンビリアに送ってくれた。

コスタリカでの全行程の手配をこの会社に依頼したのだ。コスタリカ・エクスペディションズは評判のいい会社だが、バードウォッチングにどの程度強いかは不明であった。しかし、早朝出発など、こちらの希望を伝えると、快く対応してくれたので満足のいく旅程を組めたのである。そして登場したガイドの腕も確かであった。

ホテル・ブーゲンビリアは広い庭園を持ち、そこにはランやブーゲンビリアが咲き乱れていた。鳥も多いというので、庭を探し、コスタリカキビタイシマセゲラ が見つかった。もっとも、テニスコートの裏庭にハチクイモドキが出ることがあるというので、そこを探したが、影もなかった。ハチクイモドキは美しい鳥で出会いたいのだが、トリニダード・トバゴではお目にかかれなかったのである。

2月26日。朝8時。コスタリカ・エクスペディションズの車が迎えに来た。ガイドはアンドリュー、運転手はマオ。これから私たちの世話をしてくれるのだ。専用車は立派なワゴンでエアコンも効いている。いい待遇だ。いよいよケツァールを求めて、太平洋側の山地に向かうのである。

ケツァールは緑の羽、赤い胴という美しい姿をしている。頭が小さくて可愛らしく、オスは長い飾り羽を持っている。世界一、美しい鳥だという人もいる。ケツァールを見るのは容易ではないとされ、ケツァールは幻の鳥とよばれることもある。

しかしコスタリカでは場所と時期を選べば、まだまだケツァールの姿を拝めるはずである。今夜の宿はサン・ヘラルド・デ・ドタのサベグレ・マウンテン・ホテル。ケツァール観察には最適とされる所である。

コスタリカ・エクスペディションズは途中でパライソ・デ・ケツァール(ケツァール天国)に立ち寄るプランにしてくれていた。サンホセの出発が8時だから、現地に着いたらケツァール見物に良い時間は終わっているのではないかと思ったが、せっかくの提案なので従ってみることにした。

車は太平洋側に向けて走り、山地に入った。分水嶺の近くにパライソ・デ・ケツァールはある。あいにく天候は悪化し、霧雨が降ったり止んだりである。目的地に着くとアンドリューは事務所の建物に入っていった。すぐに現地ガイドがやってきた。

若く目の利いた男である。ここではケツァールはもう繁殖期に入っているそうだ。そして、これからケツァールの巣穴が見られる場所に案内してくれるという。

これは凄いことになった。巣穴を眺めていれば、ケツァールのカップルが出入りするのを見つけられるであろう。むやみに巣穴に近づくと繁殖の妨害になるから慎まなければならないが、現地ガイドの指示のもとに行動すれば大丈夫であろう。

少しばかり車で行った後で、これからは歩くといわれた。どのくらい歩くのかと聞くと、大したことはないとのことである。私は500mmのレンズと三脚を持っていくことにした。森の中を進んでいくと、前方が開けてきた。50mほど先の枯れ木の上の方に穴が空いている。これがケツァールの巣穴である。ここで鳥を待つのだ。

説明が終わるとすぐに緑色の鳥が飛んだ。長い、長い飾り羽をなびかせている。ケツァールのオスだ。何と、早くもケツァールを見られたのだ。ケツァールは巣穴の近くの茂みに入った。私は急いで三脚を立てカメラとレンズをセットした。じきに動きがあった。メスが巣穴を飛び出し、代わりにオスが巣穴に取りついたのである 。

 

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長い飾り羽がゆれて、赤い胸が見える。私は慌ててシャッターを押し続けた。霧雨混じりだし、急いだセッティングだったので、どんな写真になっているか不安だったが、後でチェックすると結構なもののようだった。拡大すると、何か咥えていることが分かった。野生のアボガドの実だろうか。

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ケツァールの写真を撮るという願いが早くもかなえられたのである。オスはすぐに巣穴に潜り込み始め、あっという間に視界から消えた。

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ここは当分このままだよと現地ガイドは私たちを別の巣穴が見られる所に案内した。オスが抱卵中で、長い飾り羽を巣穴から突き出していた。しばらく待ったがメスが帰って来ないので、引き上げてレストランに移動し、昼食となった。

レストランの外側には砂糖水を入れたハミングバードのフィーダーがあった。この旅ではハミングバードのフィーダーに何度もお目にかかったが、ここが一番素晴らしかった。いくつかの種類のハミングバードがブンブンという羽音を立てて飛び回っていた。

私はたくさんのハミングバードの写真を撮った。ことに素晴らしいのは、のどの部分に赤い羽根が混じったヒノドハチドリであった。ミドリハチドリもきれいだ。ホバリングの時、耳のような紫の羽毛を立てていた。

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昼食後、車は山道に分け入った。細い道で所々に崖がある。信頼できる運転手でよかったのだ。やがてサベグレ・マウンテン・ホテルが見えてきた。

2月27日。朝5時半。ロッジの事務所前に集合してケツァール見物に出発した。私は400mmズームと三脚を持っていった。ケツァールの尾が長いので、近くに出たら500mmでは画面を飛び出す可能性があると思ったのだ。

ガイドはベテランのメルビン。私たち2人のためのプライベートツアーである。ケツァールのポイントは川沿いの道を10分ほど上流に行った所にある。驚いたのは人の多さである。色とりどりのジャンパーを着た観光客を含めて数十人が狭い地域に集まった。

ケツァールは出ることは出たが、私が見たときは、ほとんどの間、頭の大部分が葉っぱに隠れていた。時間が流れていき、切り上げ時になった。

メルビンはケツァール国立公園の標高3000メートルを超える地点に私たちを連れて行った。露岩の上に立つと、あたり一面の樹海が見えた。ここで朝食弁当を食べ、トレイルを歩いた。

引きかえして国立公園のロッジ周辺のトレイルで鳥を探した。ここにはケツァールがいるというが、遠くにケツァールの声がするものの姿はなかった。夜にはバクが歩くようで足跡があった。さらに引き返して小さなホテルの庭先に設けられたエサ台に行った。赤い色の羽がきれいなホノオフウキンチョウそしてドングリキツツキがいた。DSC_s7088s

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ホテルに帰って昼食。午後はホテル近辺を散歩した。ケツァールで有名なサベグレ・マウンテン・ホテルにしては納得がいかない日であった。最近、ここはケツァールの出が悪くなったという情報もあったが、これは当たっているのだろうか。

驚いたことに午後、停電となった。送電線が切れたらしい。それでも蝋燭の光でディナーを提供したから根性は立派である。ロマンティック・ディナーであった。

2月27日。再び朝5時半に事務所前に集合。2度目のケツァール・プライベート・ツアーに出発である。前日が不調だったので、メルビンは気合が入っていた。昨日のポイントに着くと、メルビンはすぐにケツァールを見つけた。頭は隠れていたけれど。

この鳥はじきに飛び去ったが、飛ぶ方向から見当をつけて、彼はこのケツァールを探し出した。さっとばかりに、メルビンは持ってきたスコープをセットし、さらにモタモタしていた私の三脚セットを助けてくれた。視野の中央にケツァールがいる。赤い胸、尾の裏側の白い色、風になびく尾が印象的だ。私は色々と条件を変えてケツァールの写真を撮った。

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彼は仲間に電話してケツァールが居るといった。たくさんの人たちが駆けつけてきた。ケツァールが飛び立つと、彼はさらにこのケツァールを見つけ出した。

林の奥にいて写真撮影は無理なので、彼のスコープの中のケツァールを楽しんだ。緑の羽が風に揺れていた。この鳥が去った後、もう一度ケツァールが見つかった。これは別の個体で長い飾り羽は1本だけであった。

すっかり満足してホテルに帰って朝食。その後、ホテル周辺の鳥を探した。マダラウズラがいた。さらにメルビンの車で細い山道を登り、そこからトレイルを歩いた。運がいいとケツァールのカップルと会えるそうだが、その姿はなかった。

これで、ケツァール観察は順調に終わったと思った。不調の場合には明朝、追加のケツァール・ツアーをと計画していたがその必要はなかった。

2月29日。マオの車に乗って出発した。ガイドはアンドリューでお互いに気心が知れているから気楽だ。彼らは朝早くサンホセを出発したのである。これから太平洋岸のカラーラ国立公園を目指す。

目標はコンゴウインコ。大型のインコの中でも、最も美しい種であろう。南米のアマゾン川流域がコンゴウインコの分布の中心となるが、多く見られるのはかなりの奥地の場合が多い。アプローチが比較的楽な中米ではコンゴウインコの数が減っていて、鳥が多いコスタリカでも、ちゃんと見られる可能性が高いのはカラーラ国立公園周辺とコルコバード国立公園周辺に限られるのだ。

カラーラ国立公園へのドライブは3時間から4時間である。時間に余裕があるからどこかに立ち寄ることができる。太平洋岸に出て地元の店で昼食。そのとき、ナマケモノの話が出て、それでは近くの保護区に寄ろうということになった。

保護区の入り口にTropical Screech-Owl (スピックスコノハズク) がいた。薄目を開けているだけだったが、全身が見られたのは嬉しい。保護区のトレイルをかなり歩いたがナマケモノは見つからなかった。

ナマケモノはコスタリカに広く分布しているが、見つけるのは難しいのだ。確実に見ようと思ったらマニュエルアントニオ国立公園に行くのがいいそうだ。モンテベルデでのナイトウォークも考慮に値するのは後で知った。

ナマケモノは諦めて車を進めてもらった。朝か夕方にカラーラ国立公園の周辺でコンゴウインコが見られる可能性が高い。海岸沿いに生えている野生のアーモンドの実を食べにくるのだ。マオとアンドリューは見当をつけたアーモンドの木に目を凝らせ、車を進めた。

最初は空振り。しかし次の場所ではいた。立派なコンゴウインコのカップルがアーモンドの木に並んで止まっている。見事なものだとカメラを向けると気配を感じた鳥たちは飛び去ってしまった。かなりがっかりした。

そのままCelloロッジに向かった。ここはカラーラ国立公園に近い、鳥屋ご用達の宿である。敷地内にアーモンドの木も植わっている。何と1羽のコンゴウインコが飛び立った。夕暮れの空を飛んでいくコンゴウインコは神々しいように美しかった。

3月1日。いよいよカラ-ラ国立公園と周辺の探索開始だ。朝6時から朝食。6時半過ぎにはもう車に乗った。少しばかり行くとコンゴウインコ数羽の群れがアーモンドの実を食べていた。これはすごい。私は喜んで連写を開始した。

少ししたらシャッターが下りなくなった。当然メモリー切れなのだが、サブカメラを使っていたので、一瞬何が起きたか分からなく、もたついているうちにコンゴウインコは去っていった。本当にいい映像がとれたかどうかチェックしなかったので心配だったが、とにかくコンゴウインコを撮れたのである。後で見ると、もう一つキレの悪い写真ばかりだったが。

アンドリューたちは車を進めて海岸のアーモンドの木を探してくれた。数羽の群れがいたがすぐ飛び去った。その飛んだ方向に行くと群れは落ち着いて食事していた。アーモンドの実が多い木ならゆっくり留まるらしい。

私は三脚を引っ張り出して500mmレンズとカメラを装着した。じっくりコンゴウインコを撮影することにしたのである。レンズは明るいからコンゴウインコの様子がとてもよく分かる。

インコが視野いっぱいに広がり、近いインコを撮る時は後ずさりしてインコのしっぽがちぎれないようにしないといけない。インコは首を伸ばしたり枝の上に乗ったりして巧みにアーモンドの実を取って食べていた。平和な時だ。私は長い間インコの食事風景を眺め、写真を撮ってすっかり満足した。

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カラーラ国立公園の開園時間は7時で、もうとっくに過ぎているが私は急がなかった。カラーラ国立公園よりこちらが大切である。それでもさすがに十分となって私たちはこの場を後にした。

カラーラ国立公園の中にコンゴウインコの営巣場所があるというので私は500mmレンズをかついでいくことにした。営巣といっても産卵、育児の最中とは違うようだ。アンドリューは巣立った若鳥が母親と一緒にいるといっていた。

入り口を入るとすぐにアンドリューが小さなカエルを見つけた。黒い地に黄緑色の縞が入っている。矢毒ガエルである。皮膚の分泌液に猛毒があり、原住民が矢尻にぬって毒矢にするために利用したという。矢毒ガエルで有名なのは赤い色で足が青いものだが、それはカリブ海側にいる。

歩いていくこと15分ほどで営巣場所についた。斜め上に見上げる大木のはるか上のほうに大きな穴がある。その中にコンゴウインコが座り込むことが多いという。たしかに着いたときは2羽のコンゴウインコが顔を出していた。

これはすごいと準備していたら2羽ともいなくなった。しかし、しばらくして1羽が帰ってきて止まった。インコの全身が見えるので私は喜んで写真を撮った。

 

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そしてもう1羽が帰ってくるのを待とうと思った。ところがアンドリューとマオがキツツキを探し出してくれた。重いレンズとカメラを担いで動くのはいやだったが、折角だからと移動した。

キツツキは林の中にいて、とても見にくい。必死に焦点を合わせて撮影した。斜め後ろを見ていたがとにかく目もくちばしも写った。これはズアカエボシゲラという大型の貴重なキツツキであった。元の場所に戻って2羽のコンゴウインコが並んだ姿も撮影できた。

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帰り道、アンドリューは茂みの中にいるハチクイモドキを見つけた。ハチクイモドキとはいい加減な和名だがとても美しい鳥でトリニダード・トバゴ以来ずっと見たかった鳥に初めてお目にかかったのだ。

地元のレストランで昼食を摂った後で、タルコレス川のクルーズとなった。船一艘を私たちだけで貸し切れたのだから大したものだ。アンドリューが次々と現れる水鳥を説明してくれた。カワセミ好きの私にとってうれしかったのは2種類のカワセミを見られたことだ。

ことにコミドリヤマセミは全長13cmと極小のカワセミでとてもかわいい。アンドリューは、最近はなかなか出会えないのだよと言ってくれた。1時間半のクルーズを終えてホテルに帰り、休息。とても充実した1日だった。

3月2日。早朝と夕方に周辺を探鳥する日だ。食事前の散歩で庭にコンゴウインコを見つけた。

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6時半に出発して車で少し行くと、アンドリューが、アオマユハチクイモドキがいるといった。撮影しているとハチクイモドキは飛んだが遠くへ行っていない。追いかけたアンドリューが叫んだ。

大変だ、エサを取ったぞ。かけつけると、たしかに何かくわえている。写真に撮ってみるとキリギリスの仲間のようだ。鳥は木に獲物をたたきつけて弱らせていた。ハチクイモドキはカワセミの親戚だというのがよくわかる動作だ。

私はあわてて三脚と500mmレンズを引っ張り出した。そして食後の休憩とゆっくりしているハチクイモドキを撮りまくった。背景に花が咲いているのもいい。

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昨日の浜に行くとまたコンゴウインコが食事中だった。ここにしばらく留まって、インコを眺め、追加の写真を撮った。浜を飛んでいく姿も撮影できた。

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そして乾燥した林に行った。ここでガイドたちはキヌバネドリを見つけてくれた。ヒメキヌバリドリらしい。キヌバネドリは腹の色が美しい。ケツァール以外のキヌバネドリには初めて出会ったのだ。

だんだん暑くなってきたので早めにレストランで昼食。冷房の効いたロッジに避難した。午後4時ごろ探鳥再開。鳥たちはまた活発になっていた。車でゆっくりとロッジ周辺の小道を行くと次々に新しい鳥が現れるのだ。アンドリューは1つ1つ鳥の名前を挙げ、図鑑で特徴を説明してくれた。

そのなかで、尾の長いエンビタイランチョウが印象的だった。日が陰ってきて引き返してくると、道のすぐわきに黒いタカが獲物を抑えていた。私はとっさに窓ガラス越しにタカの写真を撮った。コンドルたちが押し寄せてきたので、タカはすぐに獲物をつかんで飛び去った。これはセイタカノスリで獲物はイグアナだという。ガイドたちも良い日だったというほどの素晴らしい日だった。

3月3日。基本的にはモンテベルデへの移動日である。早朝、ロッジの庭を散歩しているとコンゴウインコが食事中だった。私がのんびり眺めていると大型レンズを構えた一団がやってきて、うれし気に連写を始めた。昨日着いたバードウォッチングツアーの一行に違いない。私は光の具合がよくないとおっとり構えて、鳥の飛び出しを狙った。

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出発前にはマオが朝日を浴びるキヌバネドリを見つけてくれた。さて、出発である。モンテベルデへの移動中にコンゴウインコの保護区に立ち寄るように依頼してあった。ネットで検索していてこの保護区の情報を仕入れていたのである。コスタリカ・エクスペディションズは気軽に引き受けてくれていた。

プンタアレナスを過ぎて少し行って、がたがた道を進むと保護区があった。開園時間のはずであるが、門は閉まっている。クラクションを鳴らしてしばらくすると、係員が出てきて門を開けてくれた。係員の案内で1時間かけて園内を回るのである。クルーズ船の客が来るときは混んでいるが、それ以外は客がちらほらという状況のようだ。

ここはコスタリカに生息する2種のコンゴウインコ属、すなわちコンゴウインコとヒワコンゴウインコ(great green macaw)を繁殖させて自然に返しているのである。毎年10羽ずつ、合計60羽放鳥し、現在50羽以上が保護区周辺で暮らしているそうだ。巣箱も置いてあり、野外での繁殖も確認しているとのことだ。素晴らしいことである。

当然、多くのコンゴウインコは巨大な鳥かごの中を飛び回っているが、数羽のコンゴウインコが庭にいて、飛んだり寛いだりしていた。ここにくれば野外のコンゴウインコの写真を撮るのは極めて容易である。

コンゴウインコの保護の様子を知るためと、それまでにコンゴウインコのいい写真が撮れなかった時の保険としてここの訪問を計画したのである。もうコンゴウインコの写真は十分に撮っていたが、放鳥されたヒワコンゴウインコが庭にいたのは望外の喜びだった。

ヒワコンゴウインコは緑を主体とした体色が美しい大型のインコである。コスタリカではカリブ海側の一部の地域にしかいなくなってしまい、絶滅が恐れられているのだ。そのインコを間近で眺め、写真に撮れたのである。

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インコたちとゆっくりした時間を過ごした後、さらに園内を進んだ。ほかの種類のインコが籠の中にいて比較するには良かった。客寄せのためかバクも飼育していた。さらに、アンドリューが園内の木にナマケモノを見つけてくれた。よく眠っているようだったが、角度を選ぶと長い爪と顔を入れた写真を撮ることができた。

内容豊富な1時間で、ここが初めてのアンドリューは感心していて、これからは時々訪れるように会社に提案しようといっていた。

保護区を出るとだんだん山道になり、さらに崖の近くを行く悪路になったが、運転手がベテランのマオなので落ち着いていられた。昼頃にモンテベルデ・ロッジについた。昼食を共にした後、アンドリューとマオは別れを惜しんで帰っていった。とてもいいガイドと運転手に恵まれたのである。

モンテベルデ・ロッジは広大な森を取り込んだ庭を持つリゾートホテルである。部屋はよく整えられて清潔で、気候も快適。私たちはすっかり寛いだ。午後は庭を散歩して過ごした。

モンテベルデへの訪問はリゾートを楽しんでから帰国するつもりで計画していて、生物は運が良ければ程度の思いであった。しかし、サベグレで出会ったバードウォッチャーがモンテベルデ保護区で、営巣を始めたらしいケツァールのカップルをじっくり見たと言っていたので少しは期待を持ち始めた。

またコスタリカ・エクスペディションズは2日目のツアーにクリカンチャ保護区を手配してくれていた。聞きなれない名前であったがトリップアドバイザーで調べるとケツァールが出たりして結構な所らしい。ここにも淡い期待を抱くことができた。

3月4日。朝6時から朝食。7時にはガイドが迎えにきた。カルロスといい、若く敏捷そうなガイドである。車でモンテベルデ保護区まで移動した。途中で私はモルフォ蝶が飛んでいくのを見つけた。

コスタリカのモルフォ蝶はブルーモルフォだ。映画の題材になった蝶である。もっともその蝶の写真は撮れなかったので、ロッジに帰ってから、そこのバタフライ・ガーデンにいるモルフォ蝶を撮った。中に入って、飛んでいるのを狙ったがなかなか大変で、木に止まって羽ばたいている蝶を見つけてやっと目的を達した。

さて、モンテベルデ保護区に入ってトレイルを歩き始めた。予想通り人が多い。それでもケツァールが見つかった。茂みの中で頭は隠れていたけれど、皆、大喜びだ。トレイルを進んで滝のところで引き返した。

だんだん人が少なくなってきて、おまけにケツァールの声がする。これはと思っていると、なんと妻がケツァールを見つけた。すぐに消えたが、飛んだケツァールの場所を今度はカルロスが探し出した。距離的には遠いが、開けた場所にいるので私にもすぐ分かった

。おまけに近くにメスもいる。2羽のケツァールは長いことその場にいて、私たちはゆっくりケツァールを見ることができた。サベグレで出会ったバードウォッチャーが会ったケツァールのカップルはこれかもしれない。

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満足して引き返し、出口の近くにあるハミングバードガーデンに行った。フィーダーにいろいろな種類のハミングバードがやってくる。カルロスは1つ1つ種類を教えてくれた。

全部で7種のハミングバードを見たことになる。この中で私はムラサキケンバネハチドリを狙った。全長17cmでコスタリカのハミングバードの中で一番大きい。11時にツアーは終り、ロッジに帰った。

3月5日。朝7時、カルロスの案内でクリカンチャ保護区に行った。入り口の木に2羽のキバシミドリチュウハシがいた。動きが速く私は写真を撮れなかったが、カルロスのスコープに妻のアイフォンを当てた写真が確かにこの鳥を見た証拠になった。保護区に入って高台に上ると保護区内が見渡せる壮大な景色だ。ここでオオハシを待ったが現れない。そこでカルロスは森へ入っていった。

ケツァールの声がする。カルロスはケツァールのオスを見つけた。鳥は飛んだが、カルロスはまたも素早く見つけ出した。林の中、高い位置にいるが、光の状態がいいので腹の赤色がとても鮮やかだ。

私は、今日は三脚を持って行ったので、カルロスに助けてもらって、あわてて三脚を設定し、400mmズームをつけたカメラで撮影を開始した。急ぐことはなかった。ケツァールはエサを食べているのか、ゆっくりとこの場にとどまってくれたのである。私はケツァールが顔を茂みから出す瞬間を狙って写真を撮ったり、カルロスのスコープを眺めたりして時を過ごした。

 

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こうしてケツァール観察と撮影も様々な局面をカバーできたのである。私たちは満足して山を下りた。

大成功の旅であった。明日からは帰国の途に就くことになる。

トリニダード・トバゴとコスタリカの旅行記は4Travelにも5つに分けて掲載しました(http://4travel.jp/traveler/tmuramatsu/)。写真の数と旅行情報は4travelの方が多く、Beautiful Natureでは厳選した写真を示し、今回の旅を一続きの旅行として見て頂くことを重視しました。

なお鳥の和名の一部についてはアメリカ大陸の野鳥(http://tsuyukibird.com/)とトリニダードトバゴ探鳥旅行(http://www.karakotomaru.com/tan-tori.htm)を参考にさせて頂きました。